★作 ジョン・バーニンガム
★訳 みつよし なつや
★出版社 ほるぷ館書店
★発行日 1976年9月20日
あらすじ
のどかな牧草地に住む「ガンピーさん」の家のそばには、川が流れています。
ある日、ガンピーさんは小舟に乗り、「ふなあそび」に出かけました。
すると、2人の子どもたちが「一緒に連れてって」とお願いし、ガンピーさんは「いいとも、けんかさえしなけりゃね」と約束して、船に乗せます。
次に、うさぎが「一緒に行きたい」とお願いし、ガンピーさんは「いいとも、飛んだり跳ねたりしなきゃね」と約束して、船に乗せてくれます。
こうして、「船に乗りたい」という動物たちが、次々に乗り込んできます…ねこ、いぬ、ぶた、ひつじ、にわとり、こうし、やぎ…動物それぞれに「ふなあそび」の約束をして、最初はみんなで、楽しく船に乗っているのですが…
「ルールを守り、みんなで楽しく遊ぼう」というテーマが、子どもにも分かりやすく描かれている、名作絵本の一冊です。
誰にでも受け入れられる、大変美しく、涼やかな筆致の線画で、愛情深く動物たちが描かれています。
また、左ページの文字の下側には、ナント!モノクロの線画で「小舟に、どのくらい動物たちが乗っているのか」という、現状の「混雑具合」も描かれていています。
繰り返しのストーリーと、美しい線画が活かされ、子どもの想像力も磨かれます。
Let’s Active Reading!

まずは、お気に入りの『図鑑』や動画で、ねこ、いぬ、ぶた、ひつじ、にわとり、こうし、やぎを探してみよう。
それぞれの鳴き声や、しっぽがどうなっているか、角はあるのか、などの特徴も調べてみよう!
★お薦めは、小学館の『まどあけ図鑑 いきもの』です。
そして、その動物は「ガンピーさんと、どんな約束をしましたか?」と聞いてみましょう♪
子どもに「読み聞かせ」をするストーリーの記憶力を、少しずつアップしていきましょう♪
「読み聞かせ」をする前に「さて、クイズです。読んだ後に、お話の内容と感想を聞きますよ♪」とあらかじめ伝えておくと、子どもは集中して聞いてくれます。
時々こんな風に、集中して「読み聞かせ」をするのも、メリハリが利いて楽しいものです。
① みんなが川の中に落ちて、お日様に当たって体を乾かしている間
② 野原を横切って、歩いて帰る間
③ みんなでお茶を飲んでいる時
⇒ 動物たちの表情が、なかなか読み取りにくい(目が点になっていたり…)のですが、子どもの想像力を発揮してもらい、お話してみましょう♪
親子の感想


「やぎさんが、けった!」
「ねこさんと、いぬさんがけんかした」など…いつもの様に、ディテールにこだわる感想を言った後、見開きで文字の無い「お茶」のページを指さし、「おやつ、食べたいな~♪」と言っていました。

のどかな牧草地に住む「ガンピーさん」のような境地には、中々なれないものですね。
それぞれの「お約束」を守れず、川に落ちてしまった動物たちを一度も叱ることなく(!)、みんなを日向ぼっこで乾かして、のんびり歩いて帰り、みんなで暖かいお茶を飲む。
誰もが「あーあ、やってしまった…」と反省しながら飲む、暖かいお茶が心に沁みいることといったら…。
幾度も失敗を繰り返して、そして乗り越えて、子どもたちは成長します。
親の私たちも「あーあ、叱りすぎちゃった」などと反省することも、多々あります…。
そんな時、この絵本を開くと「ガンピーさん」の最後のフレーズに、救われるのです。
「またいつか、のりにおいでよ」
今度は、きっと大丈夫だよという、みんなを包み込む「寛容なまなざし」が、そこにはひろがっています。