★作 森 佐智子
★絵 MAYA MAXX
★出版社 福音館書店
★発行日 2002年4月1日
あらすじ
真っ黒なお母さん猫から、子猫が生れました。
真っ黒な子猫が3匹と、真っ白な子猫が1匹です。
ある日、しろねこの「しろちゃん」は、自分だけが真っ白なことに気付きます。
「いやになっちゃうな。どうして ぼくだけ しろいんだろう。」
「しろちゃん」は、わざと白い毛を汚したりしますが、お母さんに見つかると、すぐになめられ、元の白い毛にされてしまうのでした。
ある日、お母さん猫が、子猫たちに言いました。
「今日は、お父さんが帰ってくるから、きれいにして待っておいで」と。
「しろちゃん」は、自分だけ白いのが恥ずかしくて、そっと家を抜け出しました。
さて、途中で「しろちゃん」が出会ったのは…?
白猫と黒猫のお話なので、まるで版画のようなタッチで描かれています(子猫4匹の鼻は、かわいく彩色)が、モノトーンであることを忘れてしまうくらい、ストーリーに引き込まれる、ハートウォーミングな絵本です。
MAYA MAXXさんが絵を手掛けており、猫さんたちの個性豊かな表情や、感情表現が見事です♪
Let’s Active Reading!

ヒントは、「しろちゃん」の言葉にあります♪
「いやになっちゃうな。どうして ぼくだけ しろいんだろう。」
お母さんやお兄さんのように、「しろちゃん」も「真っ黒」な毛にしたかったからですね。
ヒントは、絵本の文中にあります♪
「しろちゃんは じぶんだけ しろいのが はずかしくて」と書かれています。
年少の娘にこの質問をすると、「お父さん猫さんに、会いたくて」と言っていました。
…結末を知っていると、こんな風に子どもは答えますが、「しろちゃんが、家を抜け出した時の表情は、どう見える?」と聞くと、「かなしい」と言っていました。
「感じる気持ち」には、正解も不正解もありません。
子どもにも、それぞれ感想があるので、今のうちは子どもが言葉にした感想は、なるべく否定しないようにするのが良いと思います。
私は、「そうだね。しろちゃんは、かなしいかもね。しろちゃんだけ、白いからかな?」などと、子どもの言葉を繰り返しながら、応対しています。
このヒントも、絵本の中にいくつかあります。
・お父さんは、しろちゃんを見て、うれしそうだったから。
・お父さんが、大きくて立派な真っ白い猫だったから。
・お父さんが、しろちゃんと同じ白い猫だと、分かったから。
…などなど、家族で「しろちゃん」の気持ちを色々と話し合って、考えてみてください。
親子の感想


「しろちゃん、かわい~♪ うちには、くろちゃんがいるよ~♪」
(注:わが家には、黒猫の「クロ」がいます。)

この絵本は、黒い猫たちの中で「みんなと違って、自分だけが白い」ことを悩む「しろちゃん」の物語です。
ちょうど、年少さんくらいからでしょうか? 自分がお友達と、何か違うと気付くのは。
あの子は、足が速いし、あの子も、おむつが取れた。私だけ髪が少し茶色い、などなど。
大人であっても子どもであっても、「他の人と違う」点を気にしたり、悩んだりすること…つまりコンプレックスは、大なり小なりありますよね。
「しろちゃん」は、自分と同じ白い毛を持つ立派なお父さん猫を見てからは、「悩み」の種の白い毛が、「自信」へと変容し、コンプレックスから見事に解放されました。
ラストシーンのお父さんに抱っこされた「しろちゃん」の笑顔は、輝いています♪
「自分は、唯一無二」の存在だと認め、自信をもって生きていくこと。
この絵本は、こんな風に私達を優しく応援してくれている様です。
「自己肯定感」は、最近の幼児教育の大切なキーワードです。
今回ご紹介した本
