子どもに悩むお母さん
「最近、子どもがおもちゃを壊す…」
「食べ物で遊ばないで、食べてほしい。」
「子どもに、プレッシャーをかけてないかしら…」
前回の【「大事にする」こころを育もう Part1】は、子どもが「ものを壊す」ときの心理に焦点を当て、解決策を探っていきました。
前回をふり返りつつ、今回は、「食べ物」に焦点を当て、「大事にする」こころを育むということを考えます。
破壊する
<破壊行為の例>
・学校のものを壊す。
・おもちゃを壊す。
・食事中、ご飯を投げる。食べ物で遊び始める。
・家電を解体しようとする。
・布団をハサミで切る。
・虫を殺す。傷つける。
…など
今回は、「食べ物」に焦点を当てて、「大事にする」こころを育むテーマ、「食育」を考えます。
筆者は、「食べ物」を粗末にしてはならないと強く考えています。
それでは、検証していきましょう。
子どもには「食育」が必要
人は、「他の生命」をいただいて、生きている
食事中、子どもが食べ物で遊び始めたり、食べ物を残すことが習慣になることはありませんか。
しかし、食べ物は、「大事な命」から成り立っています。
「他の生命」を「いただく」ことで、「生き物の身体」はできています。
だからこそ、人は、他の命をいただいて、生かされている以上、食べ物には「敬意」と「感謝」の意を持って、接するべきだと考えています。
そこで、全ての子どもに対して、必要なのは「食育」です。
筆者は、「遊び食べ」が子どもにとって必要なものだとは思いません。
それは、あらゆる生命の「大事な命」を粗末にしてはならないからです。
そして、どんなに小さい子どもであっても、食事に対する「敬意」と「感謝」の気持ちは持つべきであって、しっかりと「親が子どもに教えるべきこと」だと考えます。
「食育」とは
「食育」を推進する農林水産省では、以下の通り、「食育」を定義しています。
食育は、生きる上での基本であって、知育・徳育・体育の基礎となるものであり 、様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実現することができる人間を育てることです。
農林水産省HPより
農林水産省では、エビデンス(根拠)に基づいて、「食育」に関して、良いことを4点挙げています。
<「食育」をすることでいいこと>
1.共食をすること
2.朝食を毎日食べること
3.栄養バランスに気を付けて食べること
4.農林漁業体験をすること
共食をするとこんないいこと
- 共食をすることは、自分が健康だと感じていることと関係しています
- 共食をすることは、健康な食生活と関係しています
- 共食をすることは、規則正しい食生活と関係しています
- 共食をすることは、生活リズムと関係しています
朝食を毎日食べるとこんないいこと
- 朝食を食べる習慣は、食事の栄養バランスと関係しています
- 朝食を食べる習慣は、生活リズムと関係しています
- 朝食を食べる習慣は、心の健康と関係しています
- 朝食を食べる習慣は、学力・学習習慣や体力と関係しています
栄養バランスに気を付けて食べるとこんないいこと
- 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事は、栄養バランスのとれた食生活と関係しています
- 病気のリスク低下に関係している食事パターンがあります
- バランスのよい食事は長寿と関係しています
農林漁業体験をするとこんないいこと
- 農林漁業体験は、食べ物に対する意識や関心の変化と関係しています
- 農林漁業体験は、食べ物に関する意識や知識と関係しています
- 農林漁業体験は、食べ物の嗜好と関係しています
- 農林漁業体験は、食べ残しなどの食行動と関係しています
- 農林漁業体験は、心の健康と関係しています
「農」×「子育て」という選択肢
「農」×「子育て」という選択肢
祖父母が兼業農家をしていることもあって、3歳児の娘は、農業の手伝いに行きます。
じゃがいも、さつま芋、里芋、ねぎ、トマト、きゅうり、ナス、キャベツ、白菜、ニンジン、…などなど。
畑を耕したり、種まきをしたり、収穫したりと、季節ごとに手伝っています。
しかし、そこは3歳児。
種まきをしつつ、畑にいる虫と遊び始めたり、大きな渡り鳥を見つけては図鑑で調べ始めたり。
マイペースに、娘は自然の中で学んでいます。
それでも、収穫するときの喜びは、格別です。
娘と収穫してから、娘と一緒に料理すると、収穫した野菜を大きな口で頬張ります。
おかげで、娘は、嫌いな野菜がありません。また、食べ残すこともしません。
きっと、3歳児なりに、農作物を育てる喜びと、そこに至るまでの大変さを、身をもって体験しているからだと思います。
そして、大自然の中で、祖父母が優しいまなざしで見守り、のびのびと、農作物と触れ合うことができることが、娘の大きな喜びとなっていることだと思います。
自宅で絵本を読むことは、大きな学びを得ることができますが、絵本からだけでなく、大自然で学ぶことができる環境は、大変恵まれていることだと感じています。
農業体験をしよう
身内に農業従事者がいなかったり、住環境によっては、なかなか農業をすることが難しい方もいると思います。
しかし、農作物を育てることの大変さは、本や図鑑では、子どもになかなか伝わらないもの。
ぜひ、実際に体験してみることをおススメします。
そこで、「シェア畑」に参加するのも一つの手。
みんなで協力し合うことも、大きな学びを得るはずです。
「シェア畑」では、経験豊富なプロの助けを得ながら、必要なものは現地で借りることができます。
そして、一番の魅力は、「無農薬栽培」だということ。
お子さんとともに、野菜をかぶりついてみてはいかが!
まとめ
今回は、「食べ物」に焦点を当て、「大事にする」こころを育むということ、「食育」をテーマに考えてみました。
繰り返しますが、「食べ物」は「生命」から成り立っています。
食べ物を粗末にすることなく、子どもに、いかに「食べ物」のありがたみを教えるか、それは農業体験をすることで、実際に農作物を育てることだと考えます。
地球規模で視点を変えると、世界の人口増加が止まりません。
人口増加で食料需要が急拡大し、このままでは、深刻な「食糧危機」が訪れると言われています。
「食糧危機」は決して他人事ではありません。
今すぐにでも、親が子どもに「食育」を教え、「食べ物」を粗末にすることなく、廃棄してはならないと強く教えるべきです。
こうした「食糧危機」の問題は、飽食の時代に生まれた子ども達が、成長したときに、大問題として降りかかってくることです。
今こそ、子どもに「食のありがたみ」を教えることが、この時代に生きる親の責務です。