──「見えない力」が育つ時期に、親ができることとは?
9月の終わり──
空が高くなり、夜の虫の声がふと耳に届くようになると、季節が確かに動いているのを感じます。
2学期が始まって1か月。
生活リズムは戻ったものの、学習面で“伸び悩み”を感じているご家庭も多いのではないでしょうか。
・夏休みはよく頑張っていたのに、最近はやる気が落ちている
・成績やテスト結果に大きな変化が見られない
・一生懸命やっているのに成果が出ないように感じる
こうした「伸びない時期」が訪れると、親としてはつい焦ってしまいます。
「このままで大丈夫?」「もっとやらせた方がいいのでは?」
そんな不安が、じわじわと心を支配してくる。
でも、ここで一度立ち止まって、考えてみてほしいのです。
“伸び悩み”は、本当に停滞なのか?
それは「停滞」ではなく、「溜め」である。
植物は、芽を出す前に必ず“根”を伸ばします。
表面には見えないけれど、土の中では静かに、そして力強く「準備」が進んでいる。
子どもも、まったく同じです。
- 表には出ない「考える力」
- まだ表現できない「語彙の蓄積」
- わかった気がするけれど、まだ定着していない「概念理解」
これらは、まさに「学力の根っこ」。
成果が見えない時期こそ、“学びの地層”が厚くなっている証拠なのです。
子どもの“沈黙”には、意味がある。
子どもが急に口数が減るとき。
本を開いていても、手が止まってしまうとき。
そんな姿を見て、「やる気がない」「怠けている」と決めつけてしまうのは簡単です。
でも実際には──
子どもは、自分なりに“整理”しているのです。
- 習ったことが、自分の中でどこに置かれるべきなのか
- 失敗した問題をどうやって再挑戦するか
- わからないことを、どうやって言葉にするか
この「沈黙」は、“自分で考え始めた証拠”。
大人が焦って手を出してしまうと、その“芽”を摘んでしまうことがあります。
「励まし」よりも、「信じる」ことが必要なとき
この時期、親ができる最も大切なことは──
「信じること」。
「あなたはちゃんと力を蓄えているよ」
「大丈夫。いまは“根を伸ばしている”ときなんだよ」
「焦らなくていい。土の中で育っていることは、確かだから」
子どもにとって、この“見守るまなざし”が何よりの安心になります。
その安心があってこそ、次の一歩を自分の力で踏み出せるようになる。
成長は“直線”ではなく、“階段”でやってくる
多くの親が「右肩上がり」を期待します。
毎月少しずつ点数が上がって、毎回確実に成果が出て……そんな成長を理想とする。
でも、現実の成長曲線は、そうではありません。
🔸 “沈黙”の期間があり、
🔸 “もがき”の期間が続き、
🔸 ある日突然「ポンッ」と一段、階段を登るように変化する。
──そう。子どもの成長は「階段式」なのです。
その“飛躍”の直前こそ、停滞しているように見える。
それを「伸び悩み」と見なしてしまうのは、あまりにももったいないのです。
親の焦りは、子どもに“自己不信”を植えつける
「最近、ちょっとやる気ないんじゃない?」
「このままだと追いつけないよ」
「しっかりしなさい!」
たしかに、言いたくなる気持ちはわかります。
でも、そうした言葉が続くと、子どもはこう思い始めます。
「自分はダメなんだ」
「こんな自分では、親に認められない」
「頑張っても、足りないと言われてしまう」
この“自己不信”こそ、最大の成長ブレーキです。
親の役割は、「上から引っ張ること」ではなく、「下から支えること」
今、子どもが沈んでいるように見えるなら──
それは、バネが沈み込んでいるだけかもしれません。
溜めて、溜めて、ある日いきなりジャンプする前の“タメ”。
そのバネを、無理やり引っ張るのではなく、
足元から「大丈夫」と支える。
それが、今の親に求められている姿勢なのです。
10月は、「集中力の季節」。今はその助走期間。
秋が深まる10月。
涼しくなり、空気も澄んでくると、自然と心も整ってきます。
実は、10月から11月は「学力が最も伸びやすい季節」なのです。
- 気温が安定し、体調が整いやすい
- 集中力が高まり、思考が深まる
- 文化祭や発表会など「アウトプットの場」が増える
だからこそ、9月末は“助走”の時期。
「今、結果が出ていないから不安」ではなく、
「このタイミングでしっかり根を張ろう」と、
家庭全体で視点を整えてみてください。
最後に──「土の中の学び」を、信じる力を
子育てにおいて最も難しいのは、“目に見えない成長”を信じることです。
花が咲いていないと、不安になる。
葉がしおれていると、焦ってしまう。
でも、地中では、今日も「目に見えない学び」が、
静かに、着実に、伸びています。
信じるのです。
あなたの子どもは、今日も確かに前に進んでいます。
それが目に見える「成果」として表れる日は、
思っているより、きっと早くやってきます。

