分からない問題に直面したとき、どうすればいいか。
――これは、我が家にとっても、ずっと向き合い続けているテーマです。
1.「分からない問題」と真正面からぶつかるということ
我が家の場合、
スーパーエリート問題集、最レべ、トップクラス問題集など、いわゆる難問を多く含む問題集を、かなりの量こなしてきました。
そして、基本方針はとてもシンプルです。
- 解けない問題は、何度も取り組む
- すぐに答えを教えない
- まずは自分で。何度も何度も。
問題によっては、10周近く回しているものもあります。
消しゴムで何度も何度も消し、鉛筆で書き込みを繰り返し、ページの端はヨレヨレ。
紙がちぎれそうになっているページもある。
でも、それを私は**“勲章”**だと思っています。
きれいな問題集よりも、ボロボロになった問題集の方が、
その子がどれだけ「分からない」と戦ってきたかを物語ってくれるからです。
2.「苦痛から逃げない」というトレーニング
正直に言えば、
解けない問題に向き合う時間は、子どもにとって苦痛です。
- 何度やっても同じところでつまずく
- ページを開くと「ああ、またこの問題か」と胃が重くなる
- 友だちが遊んでいる時間に、自分は机に向かっている
それでも、我が家ではこう考えています。
苦痛だからこそ、そこで逃げないことに意味がある。
分からない問題から逃げる癖がつくと、
中学受験、高校受験、その先の勉強や仕事の場面でも、
少し難しいものに出会うたびに「無理」「自分には向いていない」と決めつけてしまう危険があります。
逆に、今この低学年のうちに、
- 苦しくても、とりあえずもう一回やってみる
- すぐには分からなくても、もう少し粘ってみる
という**“粘る筋肉”**を育てておけば、
高学年以降、内容も量も一気に増えたときに、必ず効いてきます。
3.我が家の「分からない問題」ルール
ここで、具体的に我が家で実践しているルールを整理しておきます。
ルール①:まずは自力で限界まで
1回や2回で「無理」とは言いません。
問題によっては10周することもあります。
- 1周目:全然歯が立たない
- 2周目:少し形が分かってくる
- 3周目:考える時間が短くなる
- 4周目:あと一歩で届きそう
- 5〜10周目:ある日、ふっと「ひらめく瞬間」が来る
この「ひらめき」は、
解説を読んで分かったつもりになって得られるものとは、
質がまったく違います。
自分の頭の中で、何度も何度も同じ道を歩いて、
ついに抜け道を見つけたときの感覚。
「あ、こういうことだったんだ!」
この一瞬が、思考力のコアになります。
ルール②:5回以上やってもダメなら、“隣に座る”
それでも、
5回、6回と挑戦しても解けない問題はあります。
そういうとき、
我が家ではここで初めて、私が隣に座ります。
それは、「答えを教えるため」ではありません。
- どのタイミングで手が止まるのか
- どこで勘違いしているのか
- ただの計算ミスなのか
- 単位の揃え方を間違えているのか
- そもそも、考えるプロセス自体がズレているのか
これを横で観察するためです。
子どもの頭の中は、外からは見えません。
だからこそ、「解いている姿」をじっと見る時間を取ります。
そこで見えてきたズレに対して、
“ヒント”だけを渡すのが我が家のスタイルです。
- 「ここまでは合っているね」
- 「この単位、そろえてみるとどうなる?」
- 「この言葉、問題文ではどんな意味で使われていると思う?」
あくまでも、
最後の一歩は本人に踏み出してもらう。
答えそのものは渡しません。
ルール③:問題集の傷は、勲章
スーパーエリート問題集も、最レべも、トップクラス問題集も、
何度も繰り返していると、ページがヨレてきます。
- 角が丸くなる
- 紙が透けるほど消しゴムをかけてある
- ページに小さな破れ目ができる
以前の私なら、
「きれいに使いたい」「破いたらもったいない」と思っていたかもしれません。
でも今は、
その傷一つひとつが、“考えた時間の記録”だと感じています。
新品のまま本棚に並んでいる問題集よりも、
ボロボロになっても最後までやり切った問題集の方が、
その子の人生にとって、はるかに価値がある。
そう心から思っています。
4.「考えるプロセス」をどう見るか
隣で解いている様子を見ると、
子どもの思考のクセがよく分かります。
パターン1:計算ミス型
- 考え方は合っている
- 途中で1桁書き間違える
- マイナス・プラスの符号を逆にしてしまう
この場合は、
- 「考え方はバッチリだよ」
- 「ここだけ確認の仕方を工夫しようか」
と伝えます。
「自分は頭が悪い」ではなく、「作業の精度を上げればいいだけ」
という感覚を持たせたいからです。
パターン2:単位ミス・条件読み落とし型
- ㎝とmを混ぜている
- 「同じものを□個ずつ」という条件を読み飛ばしている
- 「あとで何個増えたか」を「最初に何個あったか」と取り違える
この場合は、
問題文に線を引き、丸をつけ、**“視覚化の習慣”**を一緒に作ります。
「単位が出てきたら囲む」
「条件は線で結ぶ」
こうした「読み方の型」は、
一度身につけてしまえば一生使えます。
パターン3:そもそもの考え方がズレている型
- 足し算で考えるべきところを、引き算で考えている
- 「全部」を求めたいのに、「一部」から離れられない
- 図にすると簡単な問題を、式だけで何とかしようとしている
ここは、思考の土台を作る大事な場面です。
- 図に書き直してみる
- 関係を表にしてみる
- 「最初」「変化」「結果」の3つに整理する
こうした思考の型を、少しずつ渡していきます。
それでも、
最後の式は自分で組み立ててもらう。
ここだけは譲りません。
5.低学年だからこそ、思考に時間をかける価値
高学年になると、
とにかく勉強量が増えます。
- 教科が増える
- 単元が増える
- 塾の宿題も増える
- テスト対策も増える
するとどうしても、「一問にかけられる時間」が限られます。
だからこそ、
低学年の今が、最大のチャンスだと考えています。
- 今なら、1問に30分、1時間かけてもいい
- 今なら、同じ問題を10回解いても、まだ余裕がある
- 今なら、「分からない問題ノート」を作っても、時間的な圧迫は少ない
思考力は、
一夜漬けでは身につきません。
「考えた総量」×「粘った時間」×「親の伴走の質」
この掛け算でしか育たないものだと思っています。
低学年のうちに、
“考え抜く経験”をどれだけ積ませられるか。
この差が、
高学年以降の「伸び方」を大きく分けます。
6.親にとっても、きついやり方です
正直、このやり方は親にも負担が大きいです。
- 子どもがイライラするのを横で受け止める
- 同じ問題に向き合う姿を、何度も何度も見守る
- 「もう教えてしまった方が早い」と思う気持ちを押さえる
時間もエネルギーも使います。
親だって、本当は家事もあるし、仕事もあるし、
自分の時間だって欲しい。
それでも、私はこう考えています。
今、親が一緒に「考え方」を育てておけば、
いずれ子どもは、自分一人で困難を突破できるようになる。
短期的な「楽さ」を取るのか、
長期的な「自走力」を取るのか。
我が家は後者に賭けることにしました。
7.「分からない問題」と生きていく力
分からない問題に向き合う態度は、
そのまま人生の難題に向き合う態度に重なります。
- 分からないから、とりあえず逃げる
- 分からないけれど、粘ってみる
- 分からないとき、誰かに上手に助けを求める
- 分からないからこそ、面白くなってくる
こうした“向き合い方”は、
中学受験だけで終わるものではありません。
大人になってからも、
仕事・家庭・人間関係、
どの場面でも何度も繰り返し問われる力です。
8.おわりに:低学年の「今」を、思考の黄金期にする
我が家では、
スーパーエリート問題集、最レべ、トップクラス問題集といった難問ぞろいの問題集を、
何度も何度も解き直しています。
- ボロボロになったページ
- 何重にも重なった消しゴムの跡
- しつこいくらい繰り返した同じ問題
それらすべてが、
**「分からない問題から逃げなかった時間」**の証拠です。
低学年の今は、
勉強量という意味ではまだ余裕があります。
だからこそ、この時期を、
**「考えることにたっぷり時間を使える黄金期」**だと捉えています。
- 苦痛だけど、解く。
- 何度やっても解けないけれど、それでももう一回向き合う。
- それでもダメなときは、隣でじっと見守り、ヒントだけを渡す。
この積み重ねの先に、
テストの点数だけでは測れない、
しなやかで折れにくい思考力が育っていくと信じています。
分からない問題に直面したときこそ、
子どもの未来が、静かに、しかし確かに形作られている瞬間です。
その時間を、我が家なりのやり方で、
これからも大切にしていきたいと思っています。

