1.「中学受験、する?しない?」というモヤモヤをどう扱うか
小学校低学年くらいになると、
周りからこんな言葉が聞こえてきます。
「○○ちゃん、もう塾通い始めたらしいよ」
「あのご家庭は中学受験するんだって」
「うちはまだ決めてなくてね……」
そのたびに、心のどこかでざわっとする。
- うちはどうするんだろう。
- このままで大丈夫なんだろうか。
- 準備が遅れているのでは?
決めていないことが「悪いこと」のように感じてしまい、
モヤモヤを抱えたまま日々が過ぎていく。
でも、私ははっきりと言いたいです。
「今の時点で中学受験を決めきれていないこと」は、
何も悪いことではありません。
むしろ、
- 子どもの性格
- 家庭の価値観
- 家計の事情
- その子の将来像
いろいろな要素を丁寧に考えようとしているからこそ、
簡単には「やる!」と決められないご家庭も多いはずです。
だからまずは、
このモヤモヤを「決断できていない自分へのダメ出し」にせず、
「わが家らしい選択を探している途中なんだ」
と捉え直してあげてほしいなと思います。
そのうえで、
「やる・やらない」の前に
“家庭としての優先順位” を話し合っておくことが、
何より大切になってきます。
2.偏差値や合格実績より先に、家庭で決めておきたい3つの軸
塾のチラシやネットの情報には、
偏差値・合格者数・進学実績がたくさん並んでいます。
それ自体は、もちろん大事な情報です。
ただ、そこから考え始めてしまうと必ず迷子になります。
その前に、家庭の中で
こんな3つの軸を一度ゆっくり話しておくと、
選択がぐっとぶれにくくなります。
① どんな大人になってほしいか
- どんな仕事についてほしいか
- というよりも、「どんなふうに生きていく人であってほしいか」
ここを言葉にしておくことが、とても大きいです。
たとえば、
- 自分の頭で考えられる人になってほしい
- 困っている人に気付ける優しさを持っていてほしい
- 世界を相手に仕事ができるくらいの教養と英語力がほしい
- どんな環境に置かれても、生き抜く力を持っていてほしい
こういう“人としての軸”が見えてくると、
「そのために、中学受験は“使う”のか、“使わない”のか」
という発想に変わります。
「中学受験をするかしないか」がゴールではなく、
「この子がこういう大人になるために、
中学受験というルートは相性がいいのかどうか。」
そんな視点で、落ち着いて考えられるようになります。
② どんな10代を過ごさせたいか
中学受験をすると、
どうしても小4〜小6あたりの生活は
“受験色”が濃くなります。
- 塾中心の時間割
- 週テスト・公開模試・志望校別特訓
- 土日は模試や特訓で埋まることも多い
それを否定するつもりはまったくありません。
むしろ、本気で走り切った子にしか見えない景色もあります。
ただ一方で、
- 部活で思いきり体を動かす10代
- 公立中で友達とゆったり過ごす10代
- 地元でのびのび過ごす10代
こういう時間にも、それぞれの良さがあります。
だからこそ、
「うちの子には、どんな10代を味わわせたいか。」
という問いを、
一度じっくり話してみてほしいのです。
- 小学生の間に、どこまで“受験モード”に振るのか。
- 中高6年間で、どんな友人関係・部活動・環境を経験させたいのか。
このイメージがあるだけで、
中高一貫校なのか、公立中+高校受験なのか、
自然と見えてくるものが変わってきます。
③ 日々の生活をどこまで受験色に染めるか
中学受験は、良くも悪くも
家族全体の生活の色を変えていきます。
- 帰宅時間
- 夕食の時間
- 家族ででかける頻度
- 祖父母との時間
- 休日の過ごし方
「受験なんだから、我慢して当然」
と言ってしまえばそれまでですが、
どこまで日常を“受験仕様”に変えるのか。
どこから先は“家族の生活の土台”として守るのか。
ここを話し合っておかないと、
あとから親子ともに苦しくなります。
たとえば、
- 22時以降は、どんなことがあっても勉強させない
- 日曜日の午前中は、家族で過ごす時間にする
- 年に数回は、受験に関係ない“ただの家族旅行”を入れる
など、「わが家のレッドライン」を
ざっくりでも決めておく。
それが、
「中学受験をしても、家族の生活を手放しすぎない仕切り」
になってくれます。
3.中学受験を「人生のゴール」にしないための視点
受験ブログを書いていると、
どうしても中学受験が
人生の“山場”のように語られがちです。
- どこの中高一貫に入れたか
- 合格したかどうか
- 偏差値いくつの学校か
もちろん、当事者にとってはものすごく大きな出来事です。
数年間の努力が一気に結晶化するわけですから、
軽く扱うつもりは一切ありません。
でも、冷静に考えてみると、
中学受験はあくまで「人生の一章」であって、「最終章」ではない。
ここを忘れてしまうと、
親も子も、どうしても視野が狭くなってしまいます。
- 合格したら「勝ち」
- 不合格なら「終わり」
そんな白黒の世界で戦っているうちに、
「そもそも、何のためにこんなに頑張っていたんだっけ?」
という原点を見失ってしまう。
中学受験の先には、
- 高校生活
- 大学受験
- 社会人としての生活
- もっと先の、長い長い人生
が続いていきます。
だからこそ、家庭として意識しておきたいのは、
「中学受験を“ゴールテープ”にしない。」
「ここから先も続いていく物語の、一つのターミナルだと捉える。」
という視点です。
合格したら終わりではなく、
「この受験で身につけたものを、
次のステージでどう活かしていくか。」
そこまで含めて“プロジェクト”として考えておくと、
親の気持ちも、少し楽になります。
4.“やる/やらない”より、「やるならここまで本気」「やらないならこの軸」を決める
中学受験の情報を見ていると、
どうしても「やるか/やらないか」の二択に
引きずり込まれがちです。
でも、本当に大事なのはそこではなくて、
「やるなら、このラインまで本気でやる」
「やらないなら、この軸でしっかり育てる」
という “腹のくくり方” だと思うのです。
「やる」と決めたなら
- 「塾にお任せ」ではなく、家庭もプロジェクトチームの一員になる。
- 生活リズム・睡眠・食事・運動を、学力と同じくらい大事にする。
- 偏差値だけで志望校を決めず、
校風やカリキュラム・進学実績を含めて“本当に通わせたいか”を考える。 - 合否に関わらず、「ここまで頑張ったプロセス自体を称え続ける」と決めておく。
「やらない」と決めたなら
- その分、地元の公立中での時間の使い方を本気で設計する。
- 高校受験やその先を見据えた「基礎学力」を、家庭学習でしっかり積み上げる。
- 読書・体験活動・部活動など、
中学受験では取りづらい選択肢を積極的に取りに行く。 - 「うちは中学受験しないから」と、
逆方向の“思考停止”をしないと決めておく。
どちらを選んでも、
本気になれば、どちらのルートにも豊かさがあります。
問題なのは、
「なんとなく周りの雰囲気で決めて、
なんとなく塾に入れて、
なんとなく流されていく。」
という状態になってしまうこと。
だからこそ、
- 「やるなら、ここまで本気でやる。」
- 「やらないなら、この軸でしっかり育てる。」
という家庭の姿勢を、
できる範囲で言語化しておきたいのです。
5.まだ小2の今だからこそ、焦らずに話し合いたいこと
私は今、小2の親として、
毎日の学習や生活を一緒に積み重ねながら、
このテーマについてずっと考え続けています。
- 桜蔭や御三家といった最難関校への憧れ。
- 医学部や難関大学への道を、どう描いていくか。
- 一方で、地元の学校や地元の友だちとの関係も大切にしたい思い。
- 家族の生活リズムや、二拠点生活とのバランス。
いろいろな要素が絡み合っていて、
正直に言えば、
「これが絶対の正解だ」とは言えません。
ただ一つ、
今のうちから心に決めていることがあります。
「情報に煽られて決めない。
“わが家の優先順位”から決める。」
- どんな大人になってほしいか。
- どんな10代を過ごさせたいか。
- 日々の生活をどこまで受験色に染めるのか。
この3つの軸を、
何度も何度も家族で話し合っていく。
そのうえで、
「中学受験というルートは、
わが家にとって本当に幸福な選択なのか。」
をじっくり見極めようと思っています。
6.おわりに:決めきれていない“今”は、悪いことではない
もし今、
「中学受験をするかしないか」で
モヤモヤしているご家庭があるなら、
その気持ちに、心からお疲れさまを伝えたいです。
「決めきれていない今」こそが、
実は一番“真剣に子どもの人生を考えている時間”なのかもしれないからです。
- 周りに流されて、何となく決めてしまうのは簡単。
- 塾の合格実績だけを見て、飛び込んでしまうのも簡単。
でも、そこをあえて踏みとどまって、
- うちの子には、どんな10代を歩ませたいのか。
- 中学受験を、どういう位置づけで扱いたいのか。
- 家族の生活リズムや価値観と、矛盾していないか。
こうした問いを投げかけているあなたは、
きっと、我が子の人生を本気で考えている親御さんです。
中学受験を“家庭のプロジェクト”として捉えるなら、
そのスタートは、
「偏差値」でも「塾名」でもなく、
“わが家の優先順位を話す時間” から始まります。
まだ小2の私も、
同じスタートラインに立ちながら、
これからも一緒に考え続けていきたいと思っています。

