1.受験情報は、やっぱり玉石混交だと思う
私は、自分自身も中学受験を経験し、
その後は家庭教師・塾講師として指導してきました。
いまは親の立場として再び受験の世界に戻ってきて、
昔よりも強く感じていることがあります。
受験を材料にした記事や本って、本当に玉石混交だな、と。
- 伸びる子・伸びない子の特徴
- ○歳から塾に入れないと手遅れ
- 偏差値○○から御三家合格したたった一つの方法
読んでいて、「なるほど」と思うものもあれば、
- 母数も書かれておらず、どう見ても再現性が薄いもの
- 極端な事例を“法則”に仕立てたもの
- 完全に釣りタイトル、あるいは広告目的丸出しのもの
も、山ほどあります。
一方で、
「この考え方は参考になるな」
と感じる記事や本があるのも事実。
だから、余計にややこしいのです。
2.それでも「情報を取りに行く人」しか、上位層には乗れない
ここで厄介なのは、
「じゃあ、もう情報なんて見ない!」
とムキになっても、それはそれで危険だということ。
- 入試制度の変更
- 出題傾向の変化
- 各塾のカリキュラムの違い
- 新しい良質な教材やオンライン講座
こういうものは、自分から取りに行かなければ届かない情報です。
ママ友の情報で救われることもある。
一方で、堂々と間違ったことを言われることもある。
実際、近所の方から
「うちの塾にくればいいのに」と何度かマウントされたことがありました。
最初は善意だと思って聞いていましたが、
よくよく話を聞いてみると、受験情報の基本的なところからズレている。
「ああ、このレベルの情報を正しいと思っているのか……」
と悟った瞬間、私はそっと距離を置きました。
声が大きい人=情報が正確な人、ではない。
ここは、身をもって学んだポイントです。
だからこそ私は、
「情報の取捨選択」は、受験生親子にとって一つの“技術”だ
と、強く感じています。
3.耳が痛いかもしれないけれど、最大の情報源は「過去問」です
ここからが、本題です。
多くの受験生親子が、あえて避けているテーマを一つだけ、はっきり言います。
最大の情報は、過去問です。
もう一度言います。
受験における、これ以上ない情報源は 過去問 です。
- 伸びる子の条件でもない
- 塾の合格実績でもない
- どこの塾の講師がカリスマかどうかでもない
もちろん、それらも情報としては意味があります。
ただし “最大”ではない。
なぜ過去問が最大の情報なのか
理由はシンプルです。
過去問こそが、学校からの最大のメッセージだから。
学校は、入試問題を通してこう語っています。
- 「うちの学校は、こういう力をもった子に来てほしい」
- 「こういう思考をする子を求めています」
- 「このくらいの量と難易度を、制限時間内に処理できる子が欲しいです」
入試問題は、学校が 何年もかけて練り上げた“ラブレター” です。
それ以上に“本音”がにじみ出る資料は、他にありません。
ところが――
大半の受験生親子が、過去問を怖がり、避けます。
- 「まだうちの子には早い気がする」
- 「偏差値が足りてないのに見ても意味あるの?」
- 「塾のテキストを先にやらなきゃ」
気持ちはとてもよく分かります。
私も、親として同じ恐怖と向き合っています。
それでも、あえて言います。
過去問を見ずに受験情報を語るのは、
地図を見ずに旅行プランだけ練っているようなもの だ、と。
4.過去問研究とは、「解かせる」ことだけではない
「過去問研究」と聞くと、
- 6年生の秋に、子どもに解かせて、点数を見て一喜一憂すること
を想像されることが多いですが、それは過去問活用の一部にすぎません。
① 低〜中学年のうちから、親が“眺めておく”
中学受験を考え始めたら、
まず親ができることは 過去問を開いてみること です。
- どの教科に、どれくらいの記述量があるのか
- 図形・文章題・資料読み取りなど、何を重視しているのか
- 問題文の日本語がどのくらいの密度なのか
これを見ておくだけで、
「この学校は、本当に“考えさせる”学校だな」
「この学校は、正確さと処理スピードをかなり重視しているな」
が肌感覚として分かってきます。
② 小5あたりから、「親子でチラ見せ」してみる
すべてを解かせる必要はありません。
ほんの一問、あるいは一つの大問だけでもいい。
- 「この問題、おもしろくない?」
- 「こういう文章を読ませたい学校なんだね」
と、志望校との距離感を感じる時間をつくってみる。
子どもが
「この学校、問題は難しいけど、ちょっと好きかも」
と感じるのか、
「うーん、あんまりワクワクしないな」
と感じるのか。
その差は、6年生の秋冬の伸び方に直結します。
③ 小6以降は、「点数+分析」で使う
いよいよ本格的に解く段階に入ったら、
- 何点取れたか
- 合格者平均とどれくらい差があるか
だけで終わらせるのではなく、
- どの単元で落としているのか
- やり方は合っているのに、処理スピードが足りないのか
- 記述で何を求められているのか
- 合否を分ける“勝負問題”はどこか
まで、親子で一緒に見に行く。
ここまでやって初めて、
過去問が「生きた情報」になる
と私は感じています。
5.塾・合格実績・講師情報は「サブ」。まず家庭で見るべきは志望校と過去問
- 「どこの塾が一番御三家に受かっているか」
- 「あの塾の○○先生がすごいらしい」
こういった話題も、もちろんゼロではありません。
実際、塾選びにはある程度の情報収集が必要です。
ただ、その前に――
- 家庭として、どのレベル帯の学校を目標にしているのか
- 子どもの夢や性格から見て、どういう校風が合いそうなのか
- 志望校候補の過去問を、親がどれくらい把握しているのか
ここがグラグラしたまま塾だけを語っても、
方向性の定まらない“迷走”になりがちです。
塾は、過去問で見えた「志望校との距離」を埋めるために使うもの。
その逆ではない。
この順番を、どうしても忘れたくないと思っています。
6.情報の優先順位を決める――一番上に「過去問」を置く
私の中では、受験情報の優先順位はこうなっています。
- 志望校の過去問(+学校公式サイト・説明会資料)
- 模試・塾テストの成績推移と、自宅学習のノート
- 信頼できる書籍や、長年現場を見てきた人の分析
- ママ友情報・ネット記事・SNS などの“周辺情報”
一番上に「過去問」がドンと乗っていて、
あとは全部、その補助資料です。
- 過去問を見たうえで塾を選ぶ
- 過去問を見たうえで模試結果を読む
- 過去問を見たうえでネット記事を味わう
この順番に立ち返るだけで、
情報に振り回される度合いはかなり下がります。
7.おわりに:正解はネットの向こうではなく、過去問とノートの中にある
受験情報の世界には、
今日も「正解っぽい言葉」があふれています。
- 伸びる子は○○
- 塾は○年から通うのが正解
- 最新の合格メソッド
こうしたものを一つも見ない、というのは現実的ではありません。
むしろ、ある程度は積極的に情報を取りに行く姿勢は必要です。
ただし、そのとき忘れたくないのは、
最大の情報源は、志望校の過去問である。
という、耳の痛いけれどシンプルな事実です。
- 学校が何を大切にしているか
- どんな思考力を求めているか
- どこまで書かせ、どこまで考えさせたいのか
そのすべてが、あの数十ページの中に詰まっています。
ネットの海をさまよう前に、
まずは静かな机の上で、
志望校の過去問と、子どものノートを広げてみる。
そこで見えてくる「事実」と「今の実力」。
それこそが、何よりも信頼できる情報です。
情報収集は大事。
でも、情報の“王様”は、やっぱり過去問。
この当たり前だけれど多くの人が避けている現実を、
自分自身への戒めとして、
そしてこれから受験を走る親子へのエールとして、
ここに強く書き留めておきたいと思います。

