「おばあちゃんのところに行くと、ホッとする」──娘の何気ない言葉に、私は立ち止まった
塾でも、学校でも、家庭でもない。
それなのに、祖父母の家に行くと、子どもの表情がゆるむ。
声のトーンが変わる。
そして、何とも言えない“安心した目”になる。
私たちは、つい忘れてしまう。
子どもが「学ぶ」のは、教科書の中だけではない。
人と人との関わりの中で、心の核になるものを、確かに育てているということを。
そしてそれを育てるのが、
まさに「祖父母」という存在なのです。
🎌 敬老の日とは──「感謝」と「継承」を見つめ直す日
2025年の敬老の日は9月15日(月)。
この日は、「多年にわたり社会に尽くしてきた高齢者を敬い、長寿を祝う」国民の祝日です。
でも、ただの“感謝の日”にしておくには惜しい。
なぜなら、祖父母は、
子どもの人生にとって、かけがえのない“育ちの場”を提供してくれる存在だからです。
🧠 祖父母と関わる子は、なぜ“心が強くなる”のか?
✅ 1. 無条件の愛が、子どもに「存在の肯定感」を与える
祖父母の愛情は、時に“無償”です。
テストの点が悪くても、
宿題をサボっていても、
髪がぐしゃぐしゃでも、
「今日も来てくれてうれしいよ」と言ってくれる存在。
親のようにしつけを優先するのでもなく、
先生のように評価するのでもなく、
ただ、「あなたがそこにいること」に価値を見出してくれる人。
この経験が、子どもの中に**“どんな自分でも大丈夫”という自己肯定感の土台**を築きます。
それは、試験で失敗したとき、友達に嫌なことを言われたときにも、
静かに心を支える“見えない防波堤”となるのです。
✅ 2. 価値観の“差”が、思考の柔軟性を育てる
- 「昔は冷蔵庫がなかったんだよ」
- 「電話は黒くて、ぐるぐる回すやつだったんだ」
- 「おじいちゃんは、電話をかけるのに駅まで行ってたのよ」
子どもにとっては、まるで異世界。
でもこの“違い”こそが、
時代の流れ、便利さの意味、我慢の価値を体感する入り口になります。
現代の子どもたちは、どんなことでも検索で答えが出る時代を生きています。
でも、「検索では出てこない話」ができる人が身近にいる──
それは、「生きた知恵」と「思考の余白」を同時に受け取ることを意味します。
✅ 3. 「弱さに寄り添う心」が、思いやりの根っこを育てる
祖父母の体が弱くなったとき、
少し耳が遠くなったとき、
杖をつくようになったとき。
その姿を見て、子どもは初めて、
「人は永遠ではない」ことを知ります。
そして、
「ゆっくり話してあげよう」
「荷物を持ってあげよう」
「おじいちゃん、今日は寒くない?」と声をかける──
それは、誰かに言われてやることではありません。
“目の前の人を大切にしたい”という、自発的なやさしさです。
この思いやりの芽は、勉強では育ちません。
リアルな人間関係の中でしか、育ち得ない“人間の根っこ”なのです。
🏡 わが家での実践──祖父母との関わりを“育ちの時間”に変える工夫
🔹 季節ごとに「手紙」を書く
ただの「ありがとう」だけでなく、
- 最近がんばったこと
- 楽しかったこと
- おじいちゃんに聞きたいこと
──そんな話を子どもが自分の言葉で綴ります。
「文字で気持ちを伝える」
「相手の立場に立って言葉を選ぶ」
これはまさに、作文教育の実践編でもあります。
🔹 会ったあとは「ありがとう日記」
帰宅後、「今日はどんなことがあった?」と聞くだけでなく、
「どんなことにありがとうと思った?」と問いかけます。
- おばあちゃんが自分だけにお菓子をくれた
- おじいちゃんが将棋で手加減してくれた
- 一緒に散歩して話を聞いてくれた
子どもが“心に残った場面”を言語化するこの時間は、
心の中に「感謝の記憶」を沈殿させる時間です。
🔹 祖父母と一緒に“学び”をつくる
- 伝統料理を一緒に作る
- 小学校の教科書を見せながら「昔はどうだった?」と聞いてみる
- 「戦争の話」「働き方の違い」など、“親も答えられない問い”をぶつけてみる
祖父母は、**“体験の人”**です。
AIでも教科書でも代替できない「一次情報」を語れる人。
子どもはそこから、
「答えが一つではないこと」
**「生き方に多様な選択肢があること」**を学んでいきます。
💡 祖父母がいる子といない子──差をどう埋めるか?
もし、祖父母が遠方に住んでいたり、すでに他界されていたりする場合──
どうすれば「祖父母的な関わり」を子どもに提供できるか?
答えは一つです。
「第三者の大人」との安心できる関係を、家庭外に作ること。
たとえば──
- 地域のボランティア活動への参加
- 図書館や公民館などでの読み聞かせイベント
- 近所のお年寄りとのあいさつ交流
- “学びの師匠”となるような習い事の先生との関わり
社会とのつながりの中で、
**「血のつながりを超えた心の交流」**を作ることが、
子どもに“広い家族観”を与えてくれます。
✍️ おわりに──祖父母とは、「学びと愛の原点」かもしれない
祖父母は、子どもにとっての“癒し”であり、
“知恵の宝庫”であり、
“命の物語を受け継ぐ人”でもあります。
そして何より──
「人としてどう生きるか」の見本を、静かに背中で見せてくれる存在です。
今年の敬老の日。
プレゼントを贈るだけでなく、
「一緒に過ごす時間」こそが、最高の贈り物かもしれません。
お子さんの心の中に、
祖父母とのやさしい記憶と、ぬくもりの対話が残るように。
どうか、この特別な日を、
“家族の学び直しの日”として、大切に過ごしてみてください。

