「習い事、いつまで続ける?」
これは、どのご家庭でも一度はぶつかるテーマだと思います。
- ピアノ
- スイミング
- 英語
どれも「やっておいて損はない」代表選手。
だからこそ、やめどき・卒業ライン・目的の整理をしないまま、なんとなく続いてしまいがちです。
この記事では、習い事をジャンル別に分けて、
- どこまで行ったら「卒業」と言えるのか
- どんな力が身につけば、その後の人生にちゃんと残るのか
- 中学受験・学校生活・将来の学びにどうつながるのか
を、現実的なラインで整理してみます。
1.ピアノをいつまで続ける?「卒業ライン」をどう決めるか
1-1. ピアノで身につくのは「楽器の技術」だけじゃない
ピアノは、どうしても「何級」「どの曲が弾けるか」で評価されがちですが、実はそれ以上のものを育ててくれます。
- 左右別々に動かす集中力
- ミスしても弾き直しながら立て直す力
- コツコツ積み上げる習慣
- 人前で演奏する度胸
このあたりは、勉強にもそのまま直結してきます。
だからこそ、**「どこまでやったら、これらが身についたと言えるか」**で卒業ラインを考えてあげると、親も子もスッキリします。
1-2. 現実的な「卒業ライン」の例
ライン①:コードが弾けるようになる
- 「ドミソ」「ファラド」など基本の和音
- 簡単なポップスのコード譜を見て伴奏できる
ここまで来ると、
- 合唱の伴奏をしたり
- 将来、趣味で弾き語りをしたり
“一生ものの趣味”としてのピアノが残ります。
「譜面通りに弾くだけ」から、「自分で音楽を作れる」へ
ここが、音楽の楽しさが一段変わるポイントです。
ライン②:学校の合唱や行事の伴奏ができる
- 担任の先生から「伴奏お願いできる?」と言われたときに、
「やってみたい」と手を挙げられるレベル
これは、自己肯定感とリーダーシップにつながります。
- クラスの前で弾く経験
- 本番に向けて練習を積み重ねる経験
- 失敗しても立て直す経験
どれも、中学受験やその先の受験にも活きてくる“メンタルの筋トレ”です。
ライン③:入試・内申に「音楽特技」として書ける
- 音楽系のコンクール入賞
- グレードや検定の一定の級
- 学校外の発表会での実績
ここまで来ると、入試でのアピール材料にもなります。
中学受験そのものに直接の点数加点は少ないですが、
- 面接の話題
- 願書の「得意なこと」欄
- 学校生活でのポジションづくり
といった場面で、じわっと効いてきます。
1-3. 「どのラインを目指すか」を親子で共有しておく
おすすめは、最初から完璧な答えを出そうとしないこと。
- 「ひとまず、コードが弾けるところまでは頑張ろう」
- 「合唱の伴奏を一度経験したら、一回区切りを考えよう」
このように、ステップごとに小さなゴールを置いておくと、
- 子どもも「とりあえずそこまで」という目標が見えやすい
- 親も「今どの段階にいるか」を判断しやすい
ピアノは、「いつまでも続けなきゃいけない習い事」ではなく、
**“どこかでバトンを持ち替えてもいい習い事”**なのだと思っておくと、心が軽くなります。
2.スイミングは何級まで?「安全」「健康」「受験」で考える着地点
2-1. スイミングのいちばん大事な役割は「命を守る力」
スイミングは、とかく級やタイムに目が行きがちですが、
最初の目的はシンプルです。
「水の事故から自分の身を守れる力をつけること」
その意味で、まず目指したいのは、
- 25mを落ち着いて泳ぎ切れること
- 水に落ちてもパニックにならず、浮いて待てること
このラインに乗るまでは、できれば続けてあげたいところです。
2-2. 現実的な「卒業ライン」の考え方
ライン①:25m完泳+クロール・平泳ぎができる
- クロールで25m
- 平泳ぎで25m
- 潜る・浮くがスムーズ
ここまで来れば、
- 学校のプールの授業で困らない
- 海や川でのレジャーでも、ある程度安心
「安全」「健康」の面では、十分に元が取れている状態です。
ライン②:泳ぐことが「得意・好き」と言えるレベル
- 長めの距離(50m以上)でも余裕がある
- 水泳大会や記録会に出るのが楽しい
ここまで行くと、「運動の柱」として水泳を残しておく価値が出てきます。
- 受験期になっても、短時間で心肺機能を鍛えられる
- ストレス発散・気分転換としても優秀
「勉強は机で、運動は水の中で」というメリハリは、
長い目で見るとメンタルにもプラスです。
ライン③:選手コースは“別世界”と割り切る
よくあるのが、
「せっかくここまで頑張ったんだし、選手コースに…?」
という誘惑。
ただ、選手コースに入ると、
- 週4以上の練習
- 夕方〜夜遅くの時間帯
- 土日の大会・遠征
と、生活の軸そのものが水泳になることが多いです。
中学受験や他の習い事と両立させたい場合は、
- 「選手コースは、プロ・本格派の世界」
- 「うちは健康と安全のラインまででOK」
と、はっきり線を引いておくと、迷いが少なくなります。
3.英語の習い事と塾英語、どう棲み分けるか
英語だけは、ここ数年で状況が大きく変わりました。
- 小学校英語の教科化
- 4技能(聞く・話す・読む・書く)重視
- 早期英語教育ブーム
その一方で、中学受験や高校受験は、
まだまだ「読解+文法+単語」が主戦場です。
3-1. 英語の習い事の役割:「英語を怖がらない体」をつくる
英会話教室・オンライン英会話など、
子ども向け英語の習い事のいちばんの役割は、
「英語を聞く・話すことへの抵抗感をなくす」
ことだと考えています。
- ネイティブの発音を耳で浴びる
- 「通じた!」という小さな成功体験を積む
- 英語の歌やゲームで「楽しい言語」として触れる
この土台があると、
中学以降の文法・読解が、ぐっとスムーズになります。
3-2. 塾英語(受験英語)の役割:「点を取る技術」を身につける
一方で、進学塾で扱う英語は、
- 単語・熟語暗記
- 文法問題
- 長文読解
など、「テストで点を取るための技術」が中心。
こちらは、ある程度の学年・タイミングで一気に伸ばすことも可能です。
3-3. 現実的な棲み分け・乗り換えタイミング
小学校低〜中学年
- メイン:楽しい英語(習い事)
- サブ:アルファベット・フォニックスなど軽い読み書き
この時期は、「英語=楽しい」「怖くない」という感覚を育てることが最優先。
小学校高学年〜中学受験を意識し始める頃
- 中学受験をするかどうか
- どの程度のレベルを目指すか
によって分かれます。
中学受験で英語を使わない場合
- 楽しい英語の習い事を続けつつ、
小学校の教科書レベル+簡単な文法に少しずつ触れておく - 本格的な受験英語は中学以降でも十分巻き返し可能
中学受験で英語を使う・将来帰国子女枠などを視野に入れる場合
- 小5〜小6あたりから、
「楽しい英語」+「読み書き・文法」を両輪に - 場合によっては、英会話教室から英語塾にシフトする
中学生以降
- 内申・入試に直結する「読解・文法・英作文」を本気モードで
- そのうえで、オンライン英会話などでアウトプット練習を追加
ざっくり言えば、
低学年で“楽しい英語”の土台、高学年以降で“使える・点が取れる英語”を積む
というイメージです。
おわりに:「なんとなく続ける」から一歩抜け出す
ピアノも、スイミングも、英語も。
どれも素敵な習い事です。
だからこそ、
- 「やめ時が分からない」
- 「なんとなく辞めるのはもったいない」
という気持ちになりやすい。
でも本当に大事なのは、
その子の時間と体力を、どこにどれだけ投資するかを、
親子で意識的に選び取っていくこと。
- ピアノは「コード+伴奏」ができるところまで
- スイミングは「25m完泳+クロール・平泳ぎ」あたりを安全ラインに
- 英語は「楽しい英語」→「受験英語」へ、時期を見てバトンを渡す
こうして**ジャンルごとに「わが家なりの卒業ライン」**が見えてくると、
習い事に振り回されるのではなく、
習い事を“戦略的に使う”感覚が育ってきます。
そして一度決めたラインも、
子どもの成長や夢によって柔らかく変えていけばいい。
今日も、送迎やスケジュール管理に奔走しながら、
子どもの未来のために頭を悩ませている親御さんへ。
「いつまで続けるか」を考えること自体が、
すでに一歩進んだ“家庭教育”のスタートラインです。
どうか、迷っている自分を責めずに、
親子でベストな落としどころを探していきましょう。

