1.「今年はまだ出番じゃない」から見える景色
2月になると、受験ブログ界隈やSNSは一気に熱を帯びます。
- 「いよいよ2月1日、本命日です」
- 「前日から眠れません」
- 「合格発表、番号ありました!」
そんな投稿がタイムラインを流れていくのを、
低学年の親として、少し離れた場所から見つめている自分がいます。
うちはまだ小2。
今年の2月1日は、教室にも、受験票にも名前はありません。
今年は、まだ“観客席側”にいる。
そのことに、ほっとする気持ちもあれば、
どこか胸がざわっとする気持ちも、正直あります。
- 数年後、あの列にうちの子も並ぶのだろうか。
- あのピリッとした空気の中に、親として立てるだろうか。
- 本当に、その道を選ぶのがわが家にとって幸せなのだろうか。
2月の空気は、
「まだ2月1日を戦う側ではない親」にも、
静かに問いを投げかけてきます。
でもだからこそ、
今年はまだ“出番ではない”この時期を、
「静かに準備を進める時間」
として受け止めたいなと思うのです。
2.今戦っている受験生たちは、「数年後のわが子の先輩」
2月1日の朝、志望校の校門に向かって歩いていく受験生たち。
- 小さな背中に大きなリュック。
- 手には受験票と、何度も読み込んだノート。
- 親の顔は、必死に平静を装いながら、どこかぎゅっと固い。
その姿を想像するだけで、
胸の奥がきゅっと締めつけられるような気持ちになります。
私たちはつい、
「あの子たちは特別な子たち」
「ものすごく出来がいいご家庭」
と、どこか別世界のように見てしまいがちですが、
本当はそうではありません。
- 同じようにゲームをしたい日もあったはずです。
- 同じようにYouTubeを見て笑っていた日もあったはずです。
- 同じように宿題が面倒で、ダラダラして怒られたこともあるはずです。
その一つ一つをくぐり抜けて、
「今年の2月1日に間に合わせた先輩」たちが、
今まさにゲートに立っているだけ。
今戦っている受験生は、
数年後に2月1日を迎えるわが子の、“時間上の先輩たち” です。
だからこそ、
低学年の親としてこの2月を過ごすときに、
一つだけ大切にしたい姿勢があります。
「見下さない。
眺めて評論する側に回らない。
ただ、敬意を持って見つめる。」
「ああやって戦っている子がいてくれるから、
うちの子がいつか同じ場所に立つイメージを、
リアルに描けるようになる。」
そう思うと、
今の受験生たちの存在は、
低学年の親子にとっても、
ありがたい“道しるべ”なのだと感じます。
3.低学年の今こそやっておきたい「静かな準備」
では、まだ2月1日の受験票に名前が載らない「今」、
家庭でできることは何でしょうか。
派手なことや「先取りの先取り」ではなく、
むしろ逆に、
地味だけれど揺るぎない**“土台づくり”**です。
① 生活リズム(睡眠・食事・運動)
結局のところ、
中学受験を最後まで走り切るのに必要なのは、
- 夜ふかしの根性ではなく
- 早寝早起きと、安定したコンディション
です。
- 同じ時間に起きて、
- 同じ時間にご飯を食べて、
- 同じ時間に寝る。
それだけのことが、
日常ではいちばん難しい。
低学年の今こそ、
- 睡眠時間をしっかり確保する習慣
- 朝ごはんを必ず食べる習慣
- 毎日少しでも体を動かす習慣(公園でも、家の中のストレッチでも)
このあたりを、
「当たり前」として身体に染み込ませておきたいところです。
受験勉強は、
“整った生活リズム”という土台の上にしか乗りません。
この土台づくりは、
塾に通おうが通うまいが、
すべての子どもにとっての財産になります。
② 読書習慣と日記(ことばの土台)
難関校の過去問を眺めていると、
ほぼ例外なく突きつけられるのが、
「日本語で考え、日本語で表現する力」
です。
これは、
小3や小4になってから
あわててドリルを増やしても、
なかなか一気に育つものではありません。
- 毎日の音読
- 好きな本の繰り返し読み
- 寝る前の読み聞かせ
- 簡単な日記や一言メモ
そういったものの積み重ねが、
じわじわと「ことばの筋肉」を太くしていきます。
「受験対策」というより、
“世界をことばで味わう力”を、低学年のうちから育てておく
その延長線上に、中学受験もある、くらいの感覚で
大事にしていきたい習慣です。
③ 計算・漢字などの基礎体力
どんなに高度な問題を解いても、
基礎計算がガタガタだと、
本番ではあっという間に崩れます。
- 簡単な足し算・引き算・かけ算を、
正確に、一定のスピードでこなせるか。 - 漢字の読み書きが、
「イメージのまま」書けるくらい定着しているか。
低学年の今は、
難しい問題で“背伸び”させるより、
基礎問題で“筋トレ”させるほうが、長期的には効いてきます。
百ます計算でも、
学校の計算ドリルでも、
市販の基礎問題集でもいい。
「当たり前レベル」を
何度も何度も、“丁寧に反復する”。
この地味さこそが、
数年後に過去問と向き合うときの
「安心の土台」になります。
4.情報に飲まれないために――今年のドラマを“資料”として見る
2月になると、
どうしても情報の波は荒くなります。
- 合格実績の広告
- SNSでのリアルタイム実況
- 掲示板での“情報戦”や“噂話”
低学年の親がここにどっぷり浸かってしまうと、
心がざわざわして落ち着かなくなりがちです。
「来年はどうしよう」
「うちもこの塾に入れなきゃダメなのかな」
「この学校、レベル落ちたって本当?」
そんなふうに、
まだ受験生でもないのに、
「受験生の心拍数」で生きる羽目になります。
そこで一つ、
心の持ち方の提案です。
「今年のドラマを、“資料集”として見る。」
- 今年、どんな学校の倍率が上がったのか。
- どんなタイプの問題が出題されていたのか。
- どの学校に、どんな進路実績が出ているのか。
- どんなご家庭が、どんな準備をしていたと話しているのか。
そういう情報を、
「うちも今すぐ真似しなきゃ!」
ではなく、
「数年後、選択肢を考えるときのヒントとして、
ちょっとメモしておこう。」
くらいの距離感で眺める。
- 気になった学校名
- 気になった結果の推移
- 印象に残ったエピソード
これらを、
ノートやメモアプリにポンポン書き留めておく。
それだけで、
数年後に進路を本気で検討するとき、
「今年の自分の観察記録」が
とても役に立つ“資料”になります。
情報に“飲まれる”のではなく、
情報を“採集しておく”側に回る。
この姿勢があるだけで、
2月のSNSとの距離感が
ずいぶんと楽になるはずです。
5.「いつかあの列に並ぶかもしれない」わが子のために、今をどう積み重ねるか
低学年の今、
わが子が本当に中学受験をするのかどうかは、
まだ分からないかもしれません。
それでも、
2月1日の朝、
志望校の校門へと向かう列の中に
うちの子が並ぶかもしれないと想像すると、
背筋が少し伸びる思いがします。
- そのとき、
「ここまでよく頑張ってきたね」と
心から言えるだろうか。 - そのとき、
「合否とは関係なく、この子のプロセスを誇りに思える」
だろうか。 - そのとき、
「あの日あのとき、こうやって積み上げてきたから、
今この列に立てているんだね」と
親子で振り返られるだろうか。
そのイメージを胸に置きながら、
低学年の今は、
目の前の「小さな一歩」を積み重ねる時期なのだと思います。
- 今日の早起き。
- 今日の一ページの読書。
- 今日の数問の計算。
- 今日、子どもの話に耳を傾けた5分間。
それらはすべて、
「いつかあの列に並ぶかもしれない自分」のために、
今の自分がそっと置いておく“足場”
なのかもしれません。
6.今まさに本番を迎えているご家庭へ――静かなエールを込めて
最後に、
今この2月を、
本番の受験生として、
あるいはその親として迎えているご家庭に、
どうしても一言、エールを送りたいです。
低学年の親として、
まだ戦う側ではない立場から見つめていても、
この時期の空気の張りつめ方は伝わってきます。
- ここまで積み重ねてきた日々。
- 時にはぶつかり合いながらも、
親子で歩いてきた時間。 - 模試の結果に揺れながらも、
それでも前に進んできた覚悟。
結果がどうであれ、
そのプロセス自体は、
すでに立派な「物語」です。
2月1日の朝、
その列に立っている時点で、
もう十分にすごい。
低学年の親としてできることは、
それを遠くから静かに讃え、
心の中でこうつぶやくことだと思っています。
「ここまで走り切ってきた姿に、
心から敬意を送ります。」
「数年後、うちの子があの列に並ぶとき、
あなたたちの姿を思い出すだろうと思います。」
どうか、
それぞれのご家庭にとって、
悔いのない2月になりますように。
そして、
まだ2月1日を戦う側ではない私たちも、
“静かな準備”を続けながら、
未来の2月1日に向けて、
じっくりと足場を固めていこう。
そう自分に言い聞かせながら、
今年の2月を見つめていたいと思います。

