「最近、娘の言葉が、少しやさしくなった気がする」
9月も中旬を迎え、
空の色が夏とは違う淡さを帯び、風にひんやりとした匂いが混じるようになりました。
ふと、そんな秋の気配のなかで感じる変化。
「お母さん、今日は空がすごくきれいだったよ」
「おじいちゃんの畑、だいぶ秋っぽくなってきたね」
──それは、成績でも技能でもない、
“心の感受性”の変化。
秋という季節には、子どもの“感性”を育てる力があります。
そして、それを受け止め、言葉に変え、
人生の軸にしていく場所が「家庭」なのです。
🍂 秋は、子どもの感性が開く“静かな季節”
✅ 五感が研ぎ澄まされる、季節の変わり目
夏は、目にも耳にも刺激が多すぎる季節。
でも、秋になると──
- 空が高く、雲が淡くなる
- 虫の声が静かに響く
- 木の実や落ち葉が目につく
- 夜風がひんやりと肌を撫でる
- 金木犀の香りが、ふと鼻先をくすぐる
この季節の変化に、子どもは想像以上に敏感です。
「秋って、なんかさみしい感じがするね」
「さっきの虫の声、学校とは違った」
そんな一言に、“感じる力”の芽生えを感じることがあります。
✅ 「静けさ」によって、子どもの“内面”が育つ
現代の子どもたちは、
常に何かに囲まれています。
テレビ、スマホ、YouTube、通知音、アニメ、ゲーム、塾、習い事──
静けさとは、もはや“特別な贅沢”になりつつあるのかもしれません。
でも、人が何かを感じ、考え、自分と向き合えるのは、
「静けさ」の中に身を置いたときだけです。
- 秋の夕方、陽が沈んだ道を歩くとき
- 枯れ葉を踏みしめる音に耳をすますとき
- ベランダに出て、風を頬に受けるとき
こうした“音がない時間”にこそ、
子どもの感性は、静かに目を覚ますのです。
🏡 家庭の中に、秋を感じる“静けさの居場所”をつくる
✅ 朝5時から始まる、“心の余白”の時間
わが家の娘は、毎朝5時に起きています。
アラームで目覚め、1分間の早朝ダッシュ、
その後は百マス計算と漢字練習。
そして音読、朝食、ピアノ──という流れです。
けれど、この「5時から6時台の1時間」には、
勉強以上の価値があると感じています。
- 窓の外が少しずつ明るくなっていく
- 空の色が、日によって違う
- 外の虫の声が、小さく聞こえてくる
- 猫が静かにあくびをする音が聞こえる
そんな時間の中で、
娘は何も言わなくても**“整っていく”**のです。
✅ テレビがない暮らしが、生んでくれた“静寂の土壌”
わが家では、テレビの契約をしていません。
リアルタイムで映るチャンネルもなく、
代わりに──
- 絵本
- 読書
- 猫との対話
- 窓辺でのひととき
- お父さんとのピアノの時間
そういった“音が少なく、意味が深い”時間が、日常になっています。
秋になると、
こうした静けさがより際立ち、
娘の言葉や視線、感受性に「深さ」が出てくることを感じます。
✍️ 秋だからこそ、育てたい3つの家庭文化
✅ ① “読む”だけではない、“味わう”読書
読書の秋──よく聞く言葉です。
でも、「読書=勉強」という発想ではなく、
「言葉に包まれる時間」としての読書習慣を意識しています。
- 読み聞かせの声を、ゆっくりと
- 雨音と一緒に、詩を読む
- 気に入った一文を、書き出すノートをつくる
- 音読ではなく、“黙読の余韻”を味わう
このように、読書を“静けさの中で味わう時間”に変えていくと、
言葉の響きが、心の深い場所に届くようになります。
✅ ②「心の移ろい」を書きとめる日記
日記は、単なる出来事の記録ではありません。
むしろ、「感情」や「感じたこと」を言葉にする訓練です。
秋は、子どもの言葉が“少し大人っぽく”なる季節。
- 「なんかさみしい」
- 「でも、静かでいい気もする」
- 「よく分からないけど、落ち着く」
そういった曖昧な感覚も、書くことで“自分の心の地図”になります。
わが家では、「感じたこと日記」「季節のことばノート」など、
遊びの延長として日記を取り入れています。
✅ ③「気づき」に感動する会話を増やす
子どもが何かに気づいたとき、
「へぇ、そうなんだ」ではなく、
**「すごい発見だね!それってどんなふうに思ったの?」**と聞くようにしています。
- 虫の声が止んだこと
- 枯れ葉が風に舞う速さ
- 雲のかたちの変化
- 猫が膝の上で丸まる時間帯
これらはすべて、“心の温度”を育てる素材です。
秋という静かな季節の中で、
感受性を“ことば”に変えるチャンスを逃さないようにしています。
🌙 秋に育った感性は、冬を乗り越える力になる
日が短くなる季節。
夏のにぎやかさが去って、少しさみしさが漂いはじめるころ。
でも、そのさみしさこそが、
子どもにとって**“自分と向き合う準備”**になるのです。
- 自分は何を感じているのか
- 今、自分はどうしたいのか
- 何に、あたたかさを感じるのか
これは、学力とは別の、
“生きていくための芯”をつくる対話です。
✍️ おわりに──「静けさ」と向き合える子は、言葉が深くなる
子どもの学力も、集中力も、
結局は「心の深さ」に支えられています。
それを育てる最良の季節が、**“今、この秋”**なのです。
塾に通わせることでも、
ドリルを1冊終えることでもなく、
ただ一緒に虫の音に耳を澄ませ、空を見上げること。
それが、
未来の子どもの“感性”という名の財産になります。
今年の秋、
静けさとともに、わが子の心の成長を見守ってみませんか?

